復活!/book1
□period
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【period】
(※現在+6年後設定)
「はひー、たくさん買いすぎちゃいましたね!」
「ふふっ。でも今日は特別でしょ?」
「そうですよね!だって今日は…」
「「第三日曜日!」」
大学の特別講習会が終わった後、ハルと京子ちゃんはナミモリーヌに寄り道して、たくさんのケーキを買いました。本当はお店で食べる予定だったのですが、京子ちゃんの家にお客さんが来るみたいなので、それぞれ家に持って帰ることにしたのです。
「ねえ、ハルちゃん」
「はひ?」
「雲雀さんから…何か連絡来た?」
「…いえ」
二年前、マフィア関係の用事でイタリアに行ってしまった雲雀さん。最初の方はメールや手紙で連絡を取り合っていましたが、急にあっちから何も連絡が来なくなり、一年ちょっと前ぐらいから、雲雀さんとは一切連絡が無しなんです。
京子ちゃんの彼氏であるツナさんも、二年前にイタリアに行ってしまったのですが、京子ちゃん曰く、少なくとも週一回はメールや手紙で連絡を取り合っているんだそうです。…雲雀さんも見習ってほしいですよ、全く。
「そっか…。じゃあハルちゃん、また明日ね」
「バイバイです、京子ちゃん!」
「…ハルちゃん!」
「はひ?」
「早く帰った方がいいと思うよ」
「…え?」
京子ちゃんは別れ際に、まるで天使様のような愛くるしい笑顔をハルに見せてくれました。
早く帰った方がいい…?ああ、早く帰らないとケーキがぬるくなっちゃいますもんね。せっかく買ったモンブランが台無しになるなんて、ハルには耐えられませんし。
この後寄ろうかと思っていた雑貨屋さんに行くのをやめにして、ハルは早足で、一人暮らしをしているアパートに向かいました。
「遅い」
「は…ひ……?」
嘘…みたいです。
イタリアにいるはずの雲雀さんが、どうしてハルの部屋の前にいるのでしょうか?
「講習会って昼前に終わるんじゃ無かったの?」
「え…あ…」
「何そのケーキ…ああ、そっか。今日は第三日曜日だったね」
これは夢ですか?
だって、帰って来るなんて一言も聞いてないのに。大体、ハルは雲雀さんにアパートの場所も講習会のことも、教えてないはずなのに。どうして知っているんですか?ああもう!聞きたいことがたくさんありすぎて、頭の中がごちゃごちゃです!…だけど、
「…ハル?」
無事に帰って来てくれて何よりですよ、雲雀さん。
「…っ…ひっく…」
「…相変わらず泣き虫だね、君は」
そう言うと、雲雀さんはハルの頭を自分の体に引き寄せてくれました。ああもう、泣き顔なんて見せたくなかったのに。びっくりやら嬉しいやら、たくさんの感情が出てきて、なかなか涙が止まりません。…でもこれは仕方ないことなんです。だってハル達、二年ぶりの再開なんですもの。
「会いたかったです、雲雀さん」
「うん、僕も」
だから今はもう少しだけ、あなたに浸らせて下さい。
end.
「…ところで、どうして講習会やハルのアパートの場所を知っていたんですか?」
「沢田から聞いた」
「なるほど…」
ということは、京子ちゃんがツナさんに教えて下さり、それをツナさんが雲雀さんに教えて下さったってことですよね、きっと。
はひ?もしかして京子ちゃん、雲雀さんが帰って来るのを知ってたんじゃ…。とりあえず、詳しいことは本人に明日聞くことにしましょう。お礼も言わなきゃいけませんしね。
「ハル」
「はひ?」
「クリームついてる」
「はひっ!すみません…」
毎度ながらgdgdでごめんなさい。
ちなみに、京子ちゃんのお客さん=ツナです。ツナも雲雀と同じ日にイタリアから帰って来ました。…という設定です。
(2010.03.23)
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