復活!/book1

Birthday-Call
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【Birthday-Call】




夕飯を食べて、宿題をして、ファッション雑誌を読んで、新しい着ぐるみの製作をして、お風呂に入って…ふと時計を見れば、時刻は23時41分。明日まで残り一時間を切っていた。

ハルは濡れていた髪を急いで乾かし、すぐに布団の中にもぐった。携帯を手に取り、もぞもぞと布団の中で動きながら、アラームの設定を始める。

「えーと…6時で、音量は最大で、着信音はいつもの…はひ!?」

突然、電話の着信音が布団の中で鳴り響いた。流れているのはハルが今一番気に入っているラブソング…それはハルにとって特別な、たった一人にしか設定していない曲で。
ハルは勢いよく起き上がり、即座に通話のボタンを押した。

「も、もしもし…」
「遅いよ」
「はひっ!!」
「ちょっと、叫ぶのやめなよ。煩いんだけど」

ハルは心底驚いた。電話をかけてきた相手は、ハルの彼氏にも関わらず今まで一度も自分から電話をかけてこなかった、雲雀恭弥だったからだ。

「あ、あの…本当に、雲雀さんですか?」
「馬鹿じゃないの君」
「はひっ!だ、だって、雲雀さんの方から電話をかけてきた事なんて今までに無かったですし」
「そうだっけ?」
「そうですよ〜。ビックリしすぎて、ハルの心臓バクバクしてますっ」

耳に入ってくるのはいつもと変わらぬ雲雀の声。ハルはとても嬉しかった。学校以外で…しかもこんな時間に雲雀と話した事なんてめったに無かった。今まであまり味わった事が無い、特別で、何だか不思議な感覚に、ハルは自然と笑みが溢れた。

「これからも電話かけて下さいね」
「……気が向いたら、ね」
「ふふっ。ハルも今度かけますよ!」
「別にいいよ」
「はひっ!即答はひど」
「三浦」
「っ!は、はい…」

ハルの言葉を遮り、凛とした声で名前を呼んだ雲雀に、ハルは一瞬胸が高鳴った。どうしたのだろうとハルは首を傾げる。…と、その時

「誕生日おめでとう」

言葉と共に、電話はプツリと切れてしまった。ハルは状況が掴めずぽかんと口を開け、ぴくりとも動けなかった。

「……はっ!で、電話!切らなくちゃっ」

意識が戻ったハルは慌てて携帯のオフのボタンを押す。携帯の時計を見れば、時刻はちょうど0時1分に変わった所だった。

「信じられません…」

ハルは体を倒し、携帯を握りしめながら枕に顔を埋めた。驚きと嬉しさで頭はいっぱいになり、感情を表すかの様に激しくに足をばたつかせる。
数十秒後、少し落ち着いたハルは足の動きをピタリと止め、布団を頭まで被り、体を小さく縮めた。

「…こんなにハッピーな誕生日、生まれて初めてです。」


end.



ハルも雲雀さんの誕生日に電話をかけてみましょうか。…なんて考えながら、ハルは重たくなってきた瞼をゆっくりと閉じた。





ハル誕生日おめでとうヾ(*´∀`)ノシ!
ベタな話になってしまいましたが…雲雀には誰よりも先に、ハルにおめでとうを言ってほしかったんです。


(2009,05,03)



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