復活!/book1

終わりよければ全てよし
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【終わりよければ全てよし】




長くて辛いテスト週間が今日、やっと終わりました!皆でさようならの挨拶をした後、ハルはすぐに学校を飛び出し、並盛中へ全速力で向かいました。ラッキーなことに、部活は明日から始まるので今からはフリーなのです。あの人と会うのは二週間ぶりなので、ハルのハートはドキドキしてます。


「雲雀さん!こんにち……はひ?」


並盛中に到着し、ハルが会いたかったあの人…雲雀さんがいる応接室のドアを開けると、雲雀さんはいつもの様に書類を眺めてはいなくて、珍しいことにソファーに座ったまま首をかくんと下に向けた体勢で静かに寝ていたのです。
ちょっと失礼します。と心で呟きながら、本当に寝ているのかを確認するため、ハルは雲雀さんの右頬を人差し指で軽くつついてみました。反応は全く無し。咬み殺す、と言う雲雀さん独特のデンジャーな口癖を言われる事も無く、雲雀さんは本当に静かに眠っていました。
そんな雲雀さんを見て、ハルはふと思いました。今ハルの目の前で静かに眠っている雲雀さんですが、頭を下に向けて寝ているので寝顔が全く見れません。…思い返してみれば、雲雀さんが寝ている姿を見たのは今日が初めてかもしれません。


「貴重…ですよね」


言葉に出した瞬間、寝顔が見たいという気持ちがわき上がってきました。今を逃したら、雲雀さんが寝ている姿を見れる日がもう来ないかも!…なんて。大袈裟と分かっていながらも、そんな思いがむくむくと浮かんできました。


「……よし!」


気持ちが抑えられなくなったハルは、意を決して、雲雀さんを起こさぬ様にそっと自分の顔を雲雀さんの方に近づけてみることにしました。起きないで下さいね。と必死に心の中で祈りながら、ハルは徐々に雲雀さんの顔の距離を縮めていきました。……そして!いよいよハルは、雲雀さんを見上げる様に、彼の顔の真下に自分の顔を近づけました。息を止め、高鳴る心臓を感じながら、雲雀さんの寝顔を見ようとしました……が。


「っ…!?」

「……三浦…」


アンビリーバボー!なぜか寝ているはずの雲雀さんと目があってしまい、今ハル達は至近距離で互いを見つめあってる状態なのです。
恥ずかしさでいっぱいなハルは、取り合えず一瞬でも早くこの状況から逃れようと、自分の顔を雲雀さんから遠ざけようとしました。…けれど。恐ろしいことに、デンジャーな笑みを浮かべた雲雀さんがハルの頭を動かせないように掴んでいるので、距離は一ミリも変わりませんでした。咬み殺されると思ったハルは、目を合わすのが怖くなって、強く目を閉じました。


「……君ってさ」

「ああぁああの、これはえっと…好奇心が抑えられなくてついやってしまったと言いますか、悪気は全く無くてですねその…っ」

「大胆だね」


雲雀さんの声はいつもよりも低くて、ハルは恐怖感に陥りました。怒られる前に先に謝っておこうと思い、ハルは強く閉じていた目を恐る恐る開きました。…その時。雲雀さんとの距離が今までよりも一番縮まっていて、ハルの唇に柔らかいものが触れたのを感じました。それがハルの唇から離れても、ハルの頭の中は真っ白で、目の前にいる雲雀さんを呆然と見ることしか出来ませんでした。そんなハルを、雲雀さんは不思議そうな顔で見ました。


「何?その顔。キスしたかったんでしょ?」


ハルはただ、あなたの寝顔が見たかっただけなんです。…なんて、口にしたら咬み殺されそうなので。ハルは取り合えず愛想笑いを浮かべながら頷いておきました。


end.





無理矢理な終わり方ですいません。

ハルは天然だから無意識に大胆な行動しそうだよね。


(2011.05.01)



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