復活!/book1

恋のミラクル
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【恋のミラクル】




「獄寺さん。ハル、あれが欲しいです!」

「…は?」


ショッピングの帰り道。商店街を歩いていた時に、ハルに腕を掴まれ急に引きとめられた。ハルが指差す方を見ると、ゲームセンターのUFOキャッチャーの景品だった。


「あんなのが欲しいのかよ」

「失礼ですね。女の子はああいうのが好きなんです!」


ハルはUFOキャッチャーの前まで俺を引っ張り、景品に夢中になっている。さわり心地が良さそうな布で作られた、ウサギやクマなどのぬいぐるみが山積みとなって置かれていた。
どこが可愛いんだか、と思ったがさっきみたいに反論してくるのは考えなくても分かるから、口には出さないでおいた。


「しゃーねえな…一回だけだぞ」

「はひ!嬉しいです!」


絶対無理だと思っているが、キラキラした目で景品を見ているハルを見ると、自然と財布の中から百円を取り出してしまっていた。
百円を入れ、適当に二つのボタンを押すと、アームはゆっくりな動きで下がり、クマのぬいぐるみを掴んだ。期待しても無駄と思っていた俺は、すぐにそれから目線をはなした。


「ほら見ろ、こんなの俺には向いてねえんだよ」

「…っはひー!!」

「うるせ……は!?」


一瞬そらした目線をもう一度アームに向けると、信じらんねえ事に、アームはぬいぐるみをしっかりと掴んでいた。安っぽい音楽が流れたと同時に、気付けばそれはハルの手元にあった。


「キュートです!ミラクルです!ハッピーです〜っ」


ハルはキャーキャー言いながら、そのぬいぐるみを抱きしめていた。普段の俺ならうるせえと言う所だが、まさかゲットするとは思ってもみなかったので、ただただ驚いていた。するとハルはそんな俺の顔を見て、クスリと笑った。


「いつまでそんな顔してるんですか?」

「…うるせえよ」

「ハルが本当に貰っちゃって良いんですか?」

「んなの、男が持ってたらきめえだろうが」

「あははっ!ありがとうございます、獄寺さん」


それに、今日はハルの誕生日だ。何か買ってやろうとショッピングに誘ったが、結局欲しい物は見当たらなかった。…これなら、安物だけど少しはそれらしい物になるかもしれねえしな。


「良く聞けアホ女」

「はひ!?」

「…誕生日おめでとう」


面と向かってはやっぱ照れくさくて(ヘタレって言うんじゃねえ)何だか棒読みっぽく言ってしまったが、ハルは嬉しそうに笑ってくれたし…言ってみて良かったと心から思った。


「つか何だよそのクマ。目付き悪すぎだろ」

「ふふっ!そうですね、でも…」


ハルは抱きしめていたクマのぬいぐるみを手に持って、なぜか俺の顔の横に持ってきた。見比べる様に、交互にキョロキョロと見るハル。…何がしたいんだ、こいつ。


「獄寺さんと似ていて、可愛いです!」


…喧嘩売ってんのか?


end.





実はこれ、過去(前サイト)に書いた物と内容が似ています。

もし分かる方は、過去の物の獄ハルバージョンと思って下さい。…二人のバージョンが書きたかったんですよ。


(2010.05.05)



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