復活!/book1
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「食べなよ」
「は…はひ…」
午前九時頃に雲雀さんからメールが届いていました。何事かと思って見てみると、並中の応接室に来いという呼び出しのメールでした。たまたま暇だったハルは急いで準備をして、応接室にお邪魔しました。
部屋に入った瞬間ソファーに座らされて、美味しそうなケーキを貰いました。良く見ると、ハルが大好きなラ・ナミモリーヌのモンブランではありませんか!
「良いんですか?」
「うん」
手渡されたフォークを使って一口食べてみると、栗の上品な甘さが口いっぱいに広がりました。ハルが幸せに浸っていると、雲雀さんがハルの事をじっと見てきました。何だか恥ずかしくなって(と言うか、凄く食べにくいんですけど…)食べるとのを止めると、雲雀さんは首を傾げました。
「それじゃ駄目だった?」
「はひ?」
「君の誕生日プレゼント」
な、なんという事でしょう!まさかあの雲雀さんがハルの誕生日を覚えてるなんて思ってもみなかったです。しかも、プレゼントがハルの大好きなモンブランだなんて…ハルはベリーハッピーです!
「いえ!凄く嬉しいです、ありがとうございます!」
「いいよ。二日遅れで悪いけど」
「そんなの関係無いです……はひ?」
雲雀さんの言った通り、今日はハルの誕生日の二日後の五月五日。こどもの日で学校がお休みの日で…
「…っ!」
「どうしたの?」
「き、今日って雲雀さんの誕生日ですよね?」
「うん」
さ、最低です!ハルとした事が、雲雀さんの誕生日を忘れてたなんて…インタビュアーとして失格です!
食べ掛けのモンブランが乗っているお皿を置いて応接室を飛び出そうとした瞬間、雲雀さんに右腕を掴まれました。
「どこ行くの?」
「ケーキを買いに行ってます」
「は?」
「雲雀さんの誕生日なのに、ハルだけがケーキを食べてるなんておかしいです!」
だから止めないでとお願いすると、雲雀さんは一瞬目を丸くした後に小さく吹き出しました。…は、はひ?ハル何かおかしい事言いましたっけ?
「いいよ、別に」
「ハルが良くないです!こんなのフェアじゃ無」
「なら、あれでいい」
ハルの言葉を遮って。雲雀さんは、机の上に置いてあるハルの食べ掛けのモンブランを指差しました。
「ちょうど半分だし。これでフェアでしょ?」
話についていけずハルが目を丸くしていると、雲雀さんは机の上からモンブランが乗っているお皿を手に取って、お皿の横に添えてあったフォークを使ってモンブランを食べ始めました。
数秒後、モンブランは綺麗にお皿の上から無くなっていました。雲雀さんは机の上にお皿を置いた後、ハルに目線を向けました。ま、まさかハルが雲雀さんの誕生日を忘れていた事を、雲雀さんは怒っているのでしょうか…?!
ハルの方に徐々に近付いてくる雲雀さん。嫌な予感がして強くと目を瞑ると、雲雀さんはハルの右腕をまたもや掴みました。はひ、まさかハルの身動きを封じてそのままハルを咬み殺すつもりなのでは…!
「何変な顔してるの?屋上行くよ」
「……は…?」
あれ?怒って無い…?
よくよく考えて見ると、掴まれている右腕はちっとも痛くないし、むしろ手加減して掴んで下さっている気がします。それに、雲雀さんの表情もいつも通りの様な気がします。…はあ、ハルの思い違いで良かったです。
「怒らないの?」
「はひ!?それは雲雀さんの方ですよ!」
「どうして?」
「だ、だってハル、雲雀さんの誕生日を忘れてましたし。ケーキだって、用意してないですし」
「…君ってさ」
歩いていた足をぴたりと止めて、雲雀さんはハルをじっと見つめてきました。な、何か変な事言いましたっけ…?
「やっぱり、面白いね」
「……はい…?」
end.
gdgdになりそう(既になってる)なのでこのへんで。
カップルでは無く、友達以上恋人未満な二人です。
(2010.05.05)
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