復活!/book1

小さな救世主
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【小さな救世主】




いつもの様に。放課後、応接室にお邪魔して、コーヒーを煎れて、お茶菓子を食べて、ヒバードちゃんと一緒に並中の校歌を歌って、雲雀さんとお喋り(と言っても大半はハルが喋って雲雀さんは頷いているだけでしたが)をして、最後に軽くお掃除をしてから、応接室を出ました。

だけど一つだけ、いつもと違うことがありました。
それは、帰り際の出来事です。応接室を出ようとドアに手を掛けた瞬間、雲雀さんが後ろから抱き締めてきたんです。…その後の事は詳しく覚えていないんですけど(頭が真っ白だったんです!)、ハルの首に何か変な感触がしたのと、その後に見た雲雀さんの何とも楽しそうな笑み(強そうな方と戦う直前の表情とそっくりでした)は、はっきりと覚えています。あれは一体、何だったのでしょうか。


「ハル」

「はひ!?リ…リボーンちゃん!」

「ちゃおっス」


び…びっくりです!ハルの隣にある塀の上に、リボーンちゃんが膝を組んで座っていました。
ハルもリボーンちゃんに挨拶すると、リボーンちゃんはいつものキュートな笑みでは無く、口角を上げてニヤリと笑いました。はひ!な、何だかミステリアスです。


「さすが雲雀だな」

「はひ?雲雀さんがどうかしたんですか?」

「…お前、まさか気付いてねえのか?」


リボーンちゃんはため息を一つついて、呆れ顔でハルを見つめてきました。…うう、何だか悪い事をしてしまった気分です。それにしても、気付いて無いとは何の事でしょうか?雲雀さんと何か関わりがあるみたいですけど、ハルはさっぱり分かりません。


「おいハル。お前、絆創膏か何か持ってねえか?」

「絆創膏ですか?それなら…」


ハルは肩にかけていたスクールバックの中からポーチを取り出して、その中に入っている絆創膏を取り出しました。無地のは無くてお花柄ですけど、可愛いリボーンちゃんにはぴったりですよね!


「ハルが貼りましょうか?」

「いや、いい」


絆創膏を手渡すと、リボーンちゃんはハルに、もっと近寄れと手招きをしました。近寄ると次は後ろを向けと指示されたので、ハルは不思議に思いながらも、リボーンちゃんに背を向けました。その時、リボーンちゃんは何故かハルの首に絆創膏を貼りつけました。あれ?ハル、首に怪我なんかしましたっけ…?


「今回は助けてやったけど、次からは自分で気付けよ」

「すいません。ハル、首を怪我してるなんて気が付かなくて…」

「とことんアホだなお前」

「はひ!?」


「…ちょっと耳貸せ」


リボーンちゃんは再びため息をついた後、ハルの耳元に小声で呟きました。


「怪我じゃねえぞ」

「はひ?じゃあ、何で…」

「一度しか言わねえからな。…準備はいいか?」


はひ、何だかドキドキしてきました。聞きたいような、聞きたく無いような。…でも、聞いておいた方が良いですよね?怪我じゃ無いなら尚更理由が気になりますし。準備が出来たとリボーンちゃんに告げると、リボーンちゃんは再び口角を上げました。そして、信じられない一言をハルに教えてくれたのでした。


「キ…キスマーク…!?」


end.



「…へえ、意外。君がこんなに早く気付くなんてね」

「昨日、帰り道にリボーンちゃんが教えてくれたんですよ」

「そう」

「そうって…!ハルが一生気付かなかったらどうしてくれるんですか!」

「何言ってるの。日が経てば自然に消えるでしょ」

「ひ…っ雲雀さんの馬鹿!」





鈍感なハルが書きたかったんです。


(2010.03.30)



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