復活!/book1

聖なる日の贈り物
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【聖なる日の贈り物】




数週間前、転んでしまったハルに差しのべてくれた雲雀さんの手は、いくら季節が冬だからと言ってもとても冷たくて、まるで氷を触っている様な冷たさでした。この時、ハルは思ったんです。雲雀さんにあげるクリスマスプレゼントは、手袋にしようって。
それからハルは編み物の本と戦いながら、慣れない手付きで毎日コツコツと編んでいきました。失敗してはやり直し、また失敗してはやり直し。何度やっても上手くいかなくて、ハルは何度も挑戦しました。


「で、出来たのがこれ?」

「……はい」


雲雀さんが手に持っている物は、ハルがつい先程あげた、クリスマスプレゼントの手編みの手袋。…の予定だったけど急遽変更した、手編みのコースター…です。


「や、やり直しした時に日付を確認したら、確実に今日に間に合わ無かったので…手袋の作り方の前のページに書いてあったコースターにしちゃいました」

「ふぅん…」

「ひゃっ、」


雲雀さんは急に、ハルの目の下に指を触れさせて、ゆっくりと優しくなぞってきました。な、何だか少しくすぐったいです。


「馬鹿だね」

「はひっ!?」

「隈なんか作っちゃってさ」


あ…だからハルの目の下を触ったんですね。そういえばハル、ここ最近徹夜ばかりでまともに寝てなかった気がします。


「君って本当に馬鹿」

「は、…ひ」


…あれ?雲雀さん、今笑いました?や、笑ったと言っても、いつもハルに向ける哀れな者を見る様な嫌な笑みじゃなくて、微笑みみたいな、表情や雰囲気が優しくてあったかい笑みです。よくよく考えてみれば、雲雀さんがハルに優しく笑ってくれたのって、これが初めてかもしれません。


「…雲雀さん」

「何?」

「メリークリスマス!」


クリスマスの奇跡と言っても、過言じゃないですよね?


end.





短いなおい。

ハルなら手袋ぐらい難なく編めそうですよね。着ぐるみ作れるくらいだし…うん。←


(2009,12,25)



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