復活!/book1
□スパイス不使用
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【スパイス不使用】
(※高校生設定です,)
「…はひ……」
あり得ないです。
六限目の体育にやったハードル走。走るのは嫌いじゃないし、ハードルなんて簡単!…と思っていたのに。最初のハードルに足を引っ掛けて転倒。膝小僧は左右共に擦りむき、当たった方の足は軽い捻挫。
保健室に行くと、ただでさえ痛いのに消毒液をかけられて余計に痛かったし、この寒い季節に冷たい湿布を貼られるし。もう最悪としか言い様がありませんでした。
―…そんなハルは今、学校の門の前である人を待っている所なんです。その人はハルとは違う高校に通っているんですけど、学校が終わった後に、ハルが通っている高校までわざわざ来て下さるので、ハルはいつもその人と一緒に帰るんです。
いつもなら、ハルが学校を出た時にはすでにその人が待っててくれているんですけど、今日はハルの方が先だったみたいです。
左右の膝小僧に絆創膏がたくさん貼ってあるハルは他人から見れば少し異様らしく、学校を出ていく人達と何度も目が合いました。なんて言うか…すごく恥ずかしかったです。
「ハ、ル…!?」
いつもの様に、その人は自転車に乗って来て下さりました。…はひ?何かいつもよりも眉間に皺がよってる気がするのはハルの気のせいでしょうか?
「ものすごく怖い顔してますよ獄寺さん」
「…んだよその足」
「転んだんです。お陰で足が痛くて悲鳴をあげています」
「おいアホ女」
「はひ!?ハルはアホじゃありませ」
「乗れ」
「……はい?」
何でしょうかこの急展開は。いつもならハルを後ろに乗せずに、獄寺さんが自転車をひいて一緒に歩くんですけど(ま、一緒に乗ったら家に早く着いちゃうので歩きの方が嬉しいんですけどね)、今日はハルを後ろに乗せてくれました。…でも獄寺さんは、自転車に乗らずに歩いています。ま、ハル的には、ハルの家に着くまでの一緒にいれる時間がいつもと変わらないので嬉しいんですけど、獄寺さんにはちょっと申し訳ないです。
「すいません。ハルが転んでしまったせいで」
「んな事どーでもいいんだよ。…それより」
「はひ?」
「怪我したんならちゃんと連絡しろ。…クソ、知ってたらもっと早くに来れたのに……」
獄寺さんは険しい表情でぶつぶつと文句を言ってます。…あれ?もしかして、心配させてしまいました?
「アホ」
「…ハルはアホじゃありませんってば」
「そんな怪我しといて何だって言うんだよ」
「うっ…」
「明日から、七時半には家の前に立ってろ」
「はい?」
「仕方ねえから学校まで送ってやる」
一体どうしちゃったんですか獄寺さん。どうして今日はそんなに優しいのですか?てゆうか怪我なんですけど、見た目は痛々しいけど軽い傷ばかりなんですよ。擦り傷なんて、今は結構痛いですけど明日には痛みはあまり感じなくなるんですよ?それくらい、今までハルと比べものにならないくらいたくさん怪我をしてきたあなたなら、分かりますよね?
「あ、ありがとうございます…」
…ちょっとだけ、自惚れてもいいですか?
end.
甘め目指したら大変なことになりましたorz
獄寺はハルの事を大切にしているのに、その事に少し鈍いハル…が書きたかったんです。
獄ハルになると、ハルが獄寺にベタベタしてくれないのはなぜ/(^^)\
(2009,12,05)
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