復活!/book1
□コバルトブルー
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【コバルトブルー】
(※雲ハル・綱京含む)
制服のポケットに入れておいた携帯電話の着信音が何度も鳴っている。俺はポケットから携帯電話を取りだした後、ボタンを押して自分の耳元にあてた。
「もしもし?」
「ツナさぁん。助けて下さいぃ…」
耳に入ってきたのは、弱々しく嘆いているハルの声だった。それと同時に、ハルが鼻をすすった音も聞こえた。
「何かあったの?…雲雀さんと。」
どうやら俺が言ったことは図星だったらしく、ハルは小さな呻き声をあげた。そして、[聞いて下さい…]と涙声で話し始めた。
「ハル、また雲雀さんの機嫌を損ねる様なことを言っちゃったんです。…雲雀さん、怒ってしまいました。ハルの顔を見てくれないし、話かけてもスルーされてしまいました。」
雲雀さん雲雀さん。ハルの口から何度もこの単語が出てくる。…それもそのはずだ。だってハルは、あの雲雀さんと付き合っているんだから。
二人が付き合うきっかけを作ったのは、俺。
俺が京子ちゃんと付き合う事になり、自動的にフラれた形になってしまったハルに声をかけたのが雲雀さんで。それから二人は交流を深めていき(ハルが応接室に入る姿を何度も見たことがある)、付き合う事になった。
「うぅ…ツナさん、ハルの話聞いてますか?」
俺はハッとして、ちゃんと聞いてるよ。なんて答えれば、[それなら良いです…]と鼻をぐずぐずとすすりながらハルは言った。
「とりあえず謝ってみなよ。何度も謝れば、あの雲雀さんでもきっと許してくれるはずだよ」
「ぐすっ…許してくれますかね…」
「うん。きっと大丈夫だよ!」
俺が少し強めに言えば、数秒間の沈黙の後に[そうですよね!ハル頑張ってみます]とハルは明るく言った。
「ありがとうございました、ツナさん」
「いいよ別に。…ねえ、ハル」
「はひ?」
「雲雀さんのこと、好き?」
返ってくる答えは分かっている。けれど俺は、どうしてもハルの口から聞きたかったんだ。
「もちろんです!好きっていうより…愛してます。」
この言葉を。
「そっか。」
「はひ…何だか照れちゃいます。それでは、また!」
「うん。頑張れよ」
携帯電話を耳元から離してボタンを押した後、俺は再び制服のポケットに入れた。
…何なんだ、この気持ち。胸が少し痛いというか。まるで父親が自分の娘を嫁に出した時の様な、切ない気持ちが俺を襲っている。寂しい様な、悲しい様な、でもちょっぴり嬉しい様な。…それでもやっぱり、胸が締め付けられたみたいに苦しいんだ。
嗚呼、もしかして俺
「今さら後悔、してるのか?」
口に出した瞬間、胸に何かが刺さった様な気分になった。…そうか、俺は。ハルをフったことを後悔してるんだ。もう俺を見てくれないハルに。違う男のモノとなってしまったハルに。もう二度と、愛してるという意味で好きと言ってくれなくなったハルに。
「ははっ何だこれ。……馬鹿みたいだ」
その時の俺は、とても愚かだった。
end.
本誌のツナがあまりにも京子ちゃん京子ちゃんでハルが可哀想だったので、いつかてめえ後悔しろよ。という気持ちで書きました。(口悪くてすいません)
綱京否定した訳ではありませんので(^^;)
(2009,04,19)
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