灰男/book*

「甘ぇ」のは、お互い様!
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【「甘ぇ」のは、お互い様!】




「ん−v美味しいさぁ」

「ほんと…お店のみたいだわ」

「凄いである、リナリー!」

「…あ、ありがとう皆」

「リナリー!おかわり良いですか?」

「あっ狡いさアレン!」

「まだいっぱいあるから…たくさん食べてね。」


久しぶりに作ってみたチョコレートケーキは、嬉しいことに、皆から好評を貰った。…なので、皆美味しそうに食べてくれている(嬉しいなあ…)。



だけど、
一番食べて欲しい相手は食べてくれなかった。



「神田は…要らない、よね?」

「甘いもんは嫌いだ」

「…だよね。」



一応聞いてみたけど…うん。食べる気は全く無いみたいね(嫌そうな顔までしてるし;)。
神田は甘いものが嫌い。
そんなの昔から分かってた。……分かってたけど、


(一番食べて欲しい相手に食べて貰えないのって、辛いな…)


そう思った瞬間、胸が痛んだ。
…馬鹿みたい。期待なんかしちゃって。(…て、断られたくらいで何落ち込んでるのよ!……私の馬鹿。)


私は彼用に切り分けておいた、皆のよりも少し小さなサイズのチョコレートケーキにフォークを刺した。…そして一口分に切って、自分の口に含んだ。


(何でだろう…)


全然甘くない気がした(砂糖はちゃんと入れたのに)。…しかも、美味しく感じない。


美味しそうに食べてくれているアレンくん達が遠くにな感じた。(あぁもう!私暗すぎ…)


「リナリー」

「ん?」


彼に呼ばれ、彼の方を向けば「こっちへ来い」と言うような目で見られた。(口には出さないのよね;)


「どうかした?」

「……俺にもくれ」

「え!?た、食べてくれるの?」

「違ぇよ」

「え?;じゃあ何、を……………」


腕を引っ張られた。
抵抗する前に、彼の唇が私の唇に触れた。


「……神、田」

「甘ぇ」

「なっ…!」

「でも美味かった。」


そう言うと彼は食堂を後にして、どこかへ行ってしまった。


「………馬神田。」




(ちょっとリナリー。僕達が居るの忘れてません?)
(あぁ。完全に2人だけの世界さ…)
(か、かかか、神田くんと、リ、リリリリっリナリーちゃんがっ!)
(ミランダ、落ち着くである。)

end.



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