灰男/book*
□「甘ぇ」のは、お互い様!
1ページ/1ページ
【「甘ぇ」のは、お互い様!】
「ん−v美味しいさぁ」
「ほんと…お店のみたいだわ」
「凄いである、リナリー!」
「…あ、ありがとう皆」
「リナリー!おかわり良いですか?」
「あっ狡いさアレン!」
「まだいっぱいあるから…たくさん食べてね。」
久しぶりに作ってみたチョコレートケーキは、嬉しいことに、皆から好評を貰った。…なので、皆美味しそうに食べてくれている(嬉しいなあ…)。
だけど、
一番食べて欲しい相手は食べてくれなかった。
「神田は…要らない、よね?」
「甘いもんは嫌いだ」
「…だよね。」
一応聞いてみたけど…うん。食べる気は全く無いみたいね(嫌そうな顔までしてるし;)。
神田は甘いものが嫌い。
そんなの昔から分かってた。……分かってたけど、
(一番食べて欲しい相手に食べて貰えないのって、辛いな…)
そう思った瞬間、胸が痛んだ。
…馬鹿みたい。期待なんかしちゃって。(…て、断られたくらいで何落ち込んでるのよ!……私の馬鹿。)
私は彼用に切り分けておいた、皆のよりも少し小さなサイズのチョコレートケーキにフォークを刺した。…そして一口分に切って、自分の口に含んだ。
(何でだろう…)
全然甘くない気がした(砂糖はちゃんと入れたのに)。…しかも、美味しく感じない。
美味しそうに食べてくれているアレンくん達が遠くにな感じた。(あぁもう!私暗すぎ…)
「リナリー」
「ん?」
彼に呼ばれ、彼の方を向けば「こっちへ来い」と言うような目で見られた。(口には出さないのよね;)
「どうかした?」
「……俺にもくれ」
「え!?た、食べてくれるの?」
「違ぇよ」
「え?;じゃあ何、を……………」
腕を引っ張られた。
抵抗する前に、彼の唇が私の唇に触れた。
「……神、田」
「甘ぇ」
「なっ…!」
「でも美味かった。」
そう言うと彼は食堂を後にして、どこかへ行ってしまった。
「………馬神田。」
(ちょっとリナリー。僕達が居るの忘れてません?)
(あぁ。完全に2人だけの世界さ…)
(か、かかか、神田くんと、リ、リリリリっリナリーちゃんがっ!)
(ミランダ、落ち着くである。)
end.
,