灰男/book*

このまま直行!
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【このまま直行!】




(あ)


――朝。朝食を食べに行くため食堂に行く途中、神田と鉢合わせた。
「一緒に行こうよ」なんて誘えば、彼は「当然だ」と、あっさり答えた。
……そりゃそうよね、私達は恋人同士だし。(断る方がおかしいよね?)


二人で並んで歩く。なんだか嬉しくなって神田の顔をチラリと見れば自然と目があった。ニコリと笑って見せれば、優しい笑みが帰ってきた。(……きっと彼のこんな顔が見れるのは、私だけの特権だと思う。)


「ぁ、」


思わず声が出た。
だって、神田が私の右手を繋いできたんだもん。(しかも恋人繋ぎ)…いつもなら、恥ずかしがってやらないのに。凄くビックリした。
でも凄く嬉しくて、彼の左手を握っている自分の右手に力を加えれば、彼は握りかえしてくれた。
(…なんて幸せなんだろう)


「珍しいね、神田が繋いでくるなんて…」

「……嫌か?」

「ううん。…幸せ」


なんて言った後に再び神田の顔を見れば、彼はとても優しい表情をしていた。
そんな彼を見て、私はさらに嬉しくなった。(どうしよう、顔がにやけそう)


あ、もうすぐ食堂に着いちゃう。…でも神田も私も手を離す気は無いらしい。(だってお互い自分の手の力がゆるまないんだもん)
……ま、いっか。


(こうなったらギリギリまで離してあげないんだから)

end.



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