□公認バカップル
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「謙也、背中泥跳ねてる。」

「お、サンキュ。」

「謙也、タオル。」

「ん、」

「謙也、」


お前は謙也専属のマネージャーか!
と突っこまれても文句の一つも言えない。
って言うか、そのつもりで入部したんだから文句を言われる筋合いもないけれど。


「だから、私に人の世話なんて無理なんだって。」

「えーから。お前がおると士気が上がる。」

「そーゆうもん?」

「もん、や。」


私を半ば無理矢理入部させた張本人でもある白石は、そう言って私の頭をぽんぽんと叩いた。
それに、果たしてそうだろうかと首を捻っていると、コートで打ち合いをしていた謙也が何やら不機嫌そうにこっちにやってくる。
そして私の腕をぐいと引くと、そのまま腕の中に閉じ込めてしまった。


「お前ら、何しとんの。」

「えー、白石と話し?」

「別にお前が焼きもちやくようなことは、何もしとらんで。」

「や、っ焼きもちなんか妬いてへんわ!」

「え、妬いてないの?」


それはちょっとショックだなあ、とあからさまに眉を顰めると、途端に謙也は口籠ってしまった。
そういう所も、すごく、可愛い。


「らぶらぶー、」

「うるさい。」


そんな私たちのやり取りを見て、白石が面白そうにそう茶化す。
それを、餓鬼か!と反論しようとした私の声はしかし、寸での所で飲みこまれた。
だって、そんな。
横で突っ立ってる謙也を見やれば。


「…見てるこっちが照れる。」

「んなこと言われてもなあ、」


これ以上になく真っ赤な顔で。
これ以上になくだらしのない顔で。
ああ、でも。


「でもそんな謙也が好き、なんて私もどうかしてる。」

「っ、お、俺かて好きや!」

「あはは、ありがと。」

「お、おう…」


がしがしと頭を掻く謙也のユニフォームの裾を控えめに掴む。


「ねえ、謙也。」

「ん?」

「大好き、」

「…さっきも、聞いた。」

「顔真っ赤。」

「うっさい。お前もやんけ、」

「…うるさい、」


それでも。
裾を掴んだ私の手をそっと外して、代わりに大きな手に包まれた。


「らぶらぶー」


「「うっさい!」」





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