□君目線
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いつもいつも見上げてばかり。
背の高い彼は、いつも私を見下ろしてそして優しく頭を撫でてくれる。
それがくすぐったくて、幸せで。



君目線



「ん、」


優しく触れた唇は、私に触れてそっと離れていく。
それが少しだけ名残惜しくて下から見上げれば、彼は困ったような笑みを浮かべてよしよしと私の頭を撫でた。


「ジャッカルは大きいね。」

「そうか?」

「うん。大きい。」


こうしてずっと見上げていると首が痛くなりそう。


「見下ろす気分ってどんな感じ?」

「お前をか?」

「うん。」


どんなって。
そう言って、うん、と考え込んでしまった彼の胸に顔を埋める。
すると私の背中に彼の大きな腕が回って、自然と頬が綻んだ。


「あ、そうだ。」


いいこと思い付いた。
そう言いながら腕の中から抜け出し、彼のベッドの上に飛び乗る。
少し低めのベッドの上に立てば案の定。
私の方が頭一つ分。
彼より大きくなった。


「こうすれば私の方が大きいね。」

「そうだな。」

「見下ろされる気分は?」

「…新鮮?」


いつもは見上げなくちゃいけない彼も、今は私が見下ろしている。
それが何だか嬉しくて、その頭を撫でてみた。


「何か、ジャッカル可愛い。」

「何だそれ。」


よしよしと一通り撫でて、いつも彼がしてくれるみたいにそっとその頬を両手で包み込む。
そして少しだけ顔をあげさせて、キスをした。


「へへ。」


上からキスするって、こんな感じなんだ。
何だか守ってあげたいって気になるのはおかしいかな。


「ジャッカルの気持ちがちょっとだけ、分かった気がする。」


だから貴方はいつも私に優しいんだね。
そう言えば、彼は一瞬目を瞬いて、そしてそのまま私をぎゅうと抱き締めた。


「可愛い、」

「あはは。ジャッカルくすぐったい。」


その頭をかき抱いて、そしてもう一度キスをする。


「ジャッカル、大好き。」

「ああ、俺もだ。」


抱きあげられて、そっと床に下ろされる。
するといつもの彼がそこにいた。


「でもやっぱり、見上げる方が落ち着くね。」

「俺も。見下ろす方がいい。」


優しく優しく抱きしめられて。
ああ、何て幸せなんだろうと、彼の心音を聞きながらゆっくりと瞳を閉じた。





モドル


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